2017-01-09 Mon
ご訪問ありがとうございます。ナカリのレポートを掲載したので、自分のものも並べて載せておきます。
過去についての愚痴記事のようになってしまいましたが、
今だからこそ、の「支援」に対する思いだと、しみじみ感じます。
現役?で若かった頃とは違って、
その場その場での支援というよりも、将来につながる長い目で見た支援の必要性、
を痛感するので。
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1) 自閉症の障害特性
最新のDSM-5によると、「社会性の異常」「常同行動」が核になり、
「コミュニケーションの障害」は「社会性の異常」の一部とみなされている。
社会性の異常、とは、通常可能な言葉や言葉以外による意思や感情の交流が難しく、
コミュニケーションが成立しにくい、つまり、会話が成立しにくく一方的なものになりやすい、
相手の表情や言外の意味を読み取れないために、的外れな対応をしてしまう、などの特徴を指す。
これに加えて、不安を持ちやすいことから、決まった行動パターンや気に入りのものに固執することが多く、
いつもと違う突発的な出来事への対応が難しい、という特徴もある。
2) 自閉症児・者に対して必要な支援~我が子の場合
<幼児期>
私の娘は5歳で自閉症と診断される前から、地域の母子通園施設に通っていた。
2歳頃から母親の勘のようなもので異常に気付いたことと、
近所の幼稚園の入園前クラスに所属していた際、あまりに集団行動がとれない様子から、
相談機関に行くよう勧められたことが理由で、3歳時から母子通園施設に通い始めたからである。
早期療育の大切さが指摘されるが、自分自身の体験からも、そのことを痛感するので、当時を振り返ってみたい。
幼少期には、本人に対する療育も大切だが、養育者、特に母親に対する支援が不可欠だと思う。
なぜなら、子どもの状態の原因がはっきりしない場合、
自分の子育ての仕方が悪いのではないかと自分を責めたり落ち込んだり、
ひどい場合にはうつ状態に陥ることも考えられるからだ。
私自身も、相談機関を訪れるまでは、自分が児童虐待している悪い母親なのではないかと密かに悩んでいた。
第三者の専門家が我が子の状態を見て、「母親の育て方が原因ではない」とはっきり伝えてくれることは、
精神的に大きな支えになる。
また、この時期に限らず、同じ立場の母親同士の人間関係を作ることも、
ピアカウンセリングの視点から意味深いことと考える。
一人ではない、という気持ちが、困難に立ち向かう姿勢を後押しする。
私と娘が通った通園施設でも、週に1回は母親だけの「お茶の時間」を確保してくださり、
どんなに救われたかわからない。
私たちの場合、卒園後も自主的な非公式同窓会として集まり続け、
15年以上たった現在も月1回のペースで、入れ代わり立ち代わり、毎回10人以上の母親たちが参加している。
そして、参加するたびに「母親への支援の場」の必要性を実感する。
本人に対する療育としては、「危険なこと」「あまりにも反社会的な行動」以外は、
基本的に、子どもの視線で何でも受け止めながら、まずとにかく「安心感」「信頼感」を育てること が大切だと思う。
私が通った施設の園長先生は、外出時にどこにでも寝転んでしまう娘の話をすると、
「寝転ぶとね、視界が変わるの、面白いよ。
床が冷たくて気持ち良かったり、窓から陽が入る場所が気に入ってたり、何か理由があるのよね」と、
ご自身も子どもと一緒になって寝転んでみた話をしてくださり、子どもに対する愛情の深さと理解力に感心させられた。
施設卒園後の保育所時代にも、
基本的に、先に書いたような「危険」「迷惑」にかかわること以外は、
特別扱いと思われるようなことでも、丁寧に個別対応していただいた。
学年が上がる時、教室の場所は変わっても室内のレイアウトはほとんどそのままにしてもらったり、
お便り帳入れの場所は3年間同じだったり、
椅子にはピンクのテープを貼って他の子のものと区別して固定利用させてもらった。
着替えが嫌でパジャマのまま保育所に行ったり、
遠足に一人だけ違う色の帽子をかぶって行ったりしても、認めてもらえた。
「頭ごなしに怒られない」安心感から、娘の保育所までの記憶の中には「トラウマ」は存在しない。
<児童期>
一方、学校という場になってからは、集団行動が強く求められるようになり、
中に入れない子どもは、はじき出されてしまう。
娘も、小学校中学年くらいまでは何とか周りに付いて行っていたが、
5年生で、好きだった先生方が一気に異動になられたのがきっかけで教室に入れなくなり、
以降、不登校になってしまった。
学習面でも、高学年になると、はっきりついていけなくなり、
授業を受けないことがさらに拍車をかけて、中学ではテストも別課題となり、
結果的に普通高校進学の道が閉ざされることになった。
学校という「守られた」環境下ではあっても、対応の仕方次第で、
社会に出た時以上に辛い体験として子どもの記憶に残る場合もあることを、
現場の指導者の方々に理解していただきたい。
<成人期>
現在、成人を迎えた娘が、まさにこれから直面する時期である。
障害年金申請は無事に済ませたので、社会的支援の1つとして安心できるワク組に入ることが出来た。
他には、短期入所や移動支援、相談支援も利用申請を更新し続けている。
いざという時に家族以外に頼れる場を確保しておくことも大切だと思う。
この先には、成年後見制度やグループホームなどの知識も必要になってくるので、しっかり準備していきたい。
3) まとめ
今回も、娘本人が自分自身のことを学ぶ苦しさを実感させられた。
彼女にとっての「トラウマ」は、小学校高学年以降に点在する。
「嫌なことを忘れられない」特性が、長い期間にわたって本人を苦しめている。
なので、レポート内容が「幼児期」に偏ってしまった。
振り返って、当事者とその家族が「良かった」と思える支援が必要だ、としみじみ感じている。
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以上です。
現在、現場で指導に当たっておられる方々や、子育て真っ最中の保護者の方々にとっては、
明るい内容、希望を持てる内容になっていませんが、正直な今の気持ちです。
先生は、いたわりと慰めの言葉をかけてくださり、私の評価もAをいただきました。
残る、科目修了試験、親子で頑張りたいと思います。
ちなみに、二つの科目に加えて、実習をクリアして、自閉症学会に加入すれば、
「ASサポーター」という資格を取れるそうですが(当初はそれを目指していましたが)、
資格を取っても、娘以外の療育に生かせる目途もないし、
何年かに一度、更新し続けないといけない、ということで、
それならもういいや、と、資格取得はあっさり諦めてしまいました。
4月以降の過ごし方について、しっかり考えないとと思っています。